LEMORIONは9月11日、『めっちゃカメレオン』Nintendo Switch 2版の販売本数が10万本を突破したと発表した。Switch 2版が発表されたのは、9月9日23時から配信された「Nintendo Direct 2026.9.9」。直後からリリースが始まり、約1日で10万本に到達した。
とはいえ、『めっちゃカメレオン』自体は今回初めて登場したゲームではない。2026年6月にSteamで発売されたばかりの新規インディータイトルながら、約2カ月後には世界累計販売本数2000万本を突破。日本の2人の開発者から生まれたゲームが、わずか3カ月ほどでNintendo Directに登場するまでになった。では、なぜここまで売れているのか。ゲームを見ていくと、昔からある「かくれんぼ」の面白さに、今の配信やSNSとも相性のいい仕掛けをうまく組み合わせていることがわかる。
当初の目標「10万本」をSwitch 2版だけで約1日で達成
今回発表された10万本という数字は、『めっちゃカメレオン』にとって少し特別な意味を持っている。
開発を手掛けたのはLEMORION氏とHAGANEIRO氏の2人。LEMORION氏はSteam版発売後のインタビューで、もともと販売本数10万本を目標にしていたことを明かしている。ところが、実際に発売してみると想定を大きく上回った。6月10日のSteam版発売から2日で50万本、4日で100万本、16日で1000万本。その勢いは止まらず、8月12日には2000万本まで伸びている。最初は作品全体で目指していたはずの10万本。それを今度は、Switch 2版だけで配信開始から約1日で達成した。
2026年に誕生したばかりの新しいタイトルであることを考えると、この広がり方はかなり速い。Steamでヒットしたインディーゲームが家庭用ゲーム機へ移植されたというより、数カ月のうちに一気に知名度を獲得したタイトルが、その勢いのままSwitch 2へ乗り込んできたという印象に近い。
壁と同じ色に塗る。家具に見えるように描く。“自分で擬態する”かくれんぼ

やっていること自体は、驚くほどわかりやすい。プレイヤーは「隠れるチーム」と「鬼チーム」に分かれ、鬼は制限時間内に全員を見つければ勝利。隠れる側は1人でも最後まで発見されなければ勝ちとなる。ただし、隠れる側のキャラクターは最初から家具や小物に変身できるわけではない。体は真っ白で、周囲に合わせて自分で色や模様を描いていく。
茶色い壁の前なら茶色く塗ってみる。看板の近くなら、そこにありそうな模様を描いてみる。体のポーズも変えられるので、丸まって何かの置物のように見せたり、ステージの一部になりきったりすることもできる。隠れる場所だけを考えればいい普通のかくれんぼと違い、「自分を何に見せるか」までプレイヤーが考えるわけだ。

そして、それを探す鬼側も簡単ではない。怪しい場所をショットガンで撃って確認できるものの、弾数には限りがあるため、片っ端から撃つわけにはいかない。うまく背景へ溶け込んだプレイヤーを探す観察力も必要になる。
「Prop Hunt」と似ているようで違う、“自分で描く”という自由
こうしたゲームを見て、以前からある「Prop Hunt(プロップハント)」を思い浮かべる人もいるだろう。Prop Huntでは、隠れる側が椅子や箱、家具といったステージ内のオブジェクトに変身し、本物に紛れてハンターをやり過ごす。『フォートナイト』などでも遊ばれてきた人気ルールで、LEMORION氏自身もProp Hunt系のゲームを遊んでいたという。

『めっちゃカメレオン』が変えたのは、その「変身」の部分だった。用意された物体のどれかになるのではなく、自分の体そのものをキャンバスにして背景へ合わせる。何色にするか、どんな模様を描くか、どのポーズを取るか。ゲーム側が正解を用意するのではなく、かなりの部分をプレイヤーの発想に任せている。着想のきっかけも面白い。LEMORION氏は、テレビで見た「ボディペイントによって景色に溶け込むアーティスト」の記憶から、このアイデアを思いついたと語っている。
だから、別に完璧に隠れなくてもいい。妙な絵を描いて笑わせてもいいし、「さすがにこれはバレるだろう」という場所へ堂々と紛れ込んでもいい。任天堂が紹介しているSwitch 2版でも、あえて鬼の視界へ入るような危険な隠れ方をするとポイントを獲得できる仕組みが紹介されている。勝つための隠れ方と、面白い隠れ方が必ずしも同じではない。この余白が、毎回違うプレイを生みやすくしている。
2000万本まで広がった理由は「見ているだけでも面白い」ことか
『めっちゃカメレオン』の映像を初めて見ても、ゲームのルールを理解するまでにそれほど時間はかからない。「あ、背景と同じように自分を塗って隠れてるんだ」。たぶん、これだけで大体わかる。
複雑なストーリー設定も、長いチュートリアルも必要ない。それでいて実際のプレイでは、「そんなところにいたのか」「その絵で本当にバレないのか」といった出来事が次々に起こる。
LEMORION氏もヒットした理由について、「遊ぶ人だけでなく、見る人も楽しめる」ことを挙げている。
開発段階からSNSでプレイ動画が広がることは意識されており、発売前のテストプレイでも参加者による動画撮影や投稿を自由にしていた。その後、XだけでなくTikTok、Instagram、YouTubeなどへ映像が広がっていったという。ここは今のゲーム市場との相性がかなりいい。勝っても面白いし、変な姿で隠れても面白い。完璧に擬態したプレイヤーの横を鬼が素通りすれば、それだけで一本の短い動画になる。逆に、一生懸命描いたのに一瞬で見つかってしまっても、それはそれで笑える。対戦ゲームでありながら、強いか弱いかだけが面白さになっていない。プレイヤー自身が毎回違う“ネタ”を生み出せるから、遊んでいない人にも伝わりやすい。
昔からあるかくれんぼやProp Huntの分かりやすさに、「自分で描く」という自由を足し、さらに配信やショート動画で見ても面白い形へ持っていった。2000万本という数字の背景には、そんな現在のゲーム文化との噛み合わせもありそうだ。
Switch 2ではJoy-Con 2のマウス操作にも対応
『めっちゃカメレオン』とSwitch 2の相性で見逃せないのが、Joy-Con 2のマウス操作だ。本作では自分の体へ直接ペイントするため、Joy-Con 2をマウスのように動かして絵を描ける。LEMORION氏もSwitch 2を選んだ理由のひとつとしてマウス操作との相性を挙げており、現時点ではほかの家庭用ゲーム機への展開は未定としている。
Steam版とのクロスプレイにも対応。PCとSwitch 2で一緒に対戦できるため、Steamですでに広がったプレイヤー層と分断されないのも大きい。Switch 2からオンライン機能を利用する場合はNintendo Switch Onlineへの加入が必要となる。価格は790円(税込)。9月17日23時59分までは発売記念セールが行われ、20%オフの632円(税込)で購入できる。Steam版の発売から、まだ約3カ月。シリーズの知名度も過去作のファンも存在しないところから始まった『めっちゃカメレオン』は、2000万本という販売本数を記録し、Nintendo Directを経て家庭用ゲーム機へ進出した。
そしてSwitch 2では、約1日で10万本。当初目標だった数字をひとつのプラットフォームだけでこれほど早く突破したことを考えると、2000万本で終わった一時的なSteamの流行なのか、それともここからさらに定着していくタイトルなのか。次にどこまで数字を伸ばすのかも気になるところだ。


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