KONAMIは2026年9月24日、サイコロジカルホラー『SILENT HILL: Townfall』をPlayStation 5、Steam、Epic Games向けに発売した。開発を手掛けるのは、英国・スコットランドを拠点とするScreen Burn Interactive。『SILENT HILL 2』が2024年、『SILENT HILL f』が2025年に発売されており、シリーズとしては3年連続で同時期に新作を送り出すことになる。
今回大きく変わったのが視点だ。過去にも『SILENT HILL 4: THE ROOM』の一部や、2024年の『SILENT HILL: The Short Message』で一人称視点は使われているが、フルサイズの「SILENT HILL」作品として全編一人称を採用するのは『Townfall』が初めてとなる。単純に「ホラーだから一人称にした」というだけではなく、新たなゲームシステムと密接に結び付いた変更になっている。
舞台はスコットランドの孤島「セントアメリア」

『SILENT HILL: Townfall』の舞台となるのは、スコットランドの冷たい海に浮かぶ孤島「セントアメリア」だ。主人公サイモン・オーデルは海から島へ漂着し、人影の消えた町を探索しながら、自身とこの場所との関係を探っていく。シリーズ名こそ「SILENT HILL」だが、今回はアメリカのサイレントヒルそのものではなく、スコットランドを舞台に新たな物語が描かれる。
開発チームがスコットランドを選んだ理由も面白い。ディレクターのJon McKellan氏によれば、開発スタッフ自身が育った土地であり、細部まで説得力のある世界を作るには、自分たちがよく知る場所を描くことが重要だったという。さらにスコットランドには霧の多い土地もあり、スタッフが撮影に出た際に「文字通りサイレントヒルに立っているようだ」と感じることもあったという。
なぜ一人称視点になったのか
シリーズ初の全編一人称視点と聞くと、近年のホラーゲームで増えている「プレイヤーを怖がらせるための視点変更」にも思える。しかし『Townfall』の場合、それだけが理由ではない。
本作には「CRTV」と呼ばれる携帯型のテレビのような機器が登場する。従来の『SILENT HILL』では、敵が近づくとノイズを発するラジオがシリーズを象徴するアイテムのひとつだったが、本作ではCRTVを手に持ち、周波数を合わせることで敵の位置を探したり、謎解きの手掛かりを見つけたりする。
McKellan氏は、一人称視点について「CRTVを中心としたゲームシステムを成立させるために不可欠だった」と説明している。当初は通常のラジオだったものを、「受動的に危険を知らせるだけではなく、プレイヤー自身が使う道具にできないか」と考え、映像を表示できるCRTVへ発展させたという。
見えないことが怖さにつながる

一人称視点への変更によって、プレイヤーが確認できる範囲も狭くなった。三人称視点であれば主人公の周囲まである程度見ることができるが、『Townfall』では横や背後にいる敵を画面だけで確認することが難しい。そのため、目で見る情報だけではなく「音を聞く」ことがこれまで以上に重要になる。
開発チームもこの点を意識しており、3Dオーディオを使って、視界の外側に存在する敵を足音や物音から察知する場面を用意している。PS5版ではDualSenseのハプティックフィードバックによって敵の足音なども伝え、CRTVを操作したり銃器を狙ったりする際にはモーションコントロールも利用できる。
マップを見るという普通の行動すら安全とは限らない。マップを開くと画面上にメニューが表示されるのではなく、主人公が実際に地図を目の前へ持ち上げるため、その間は周囲が見えにくくなる。引き出しを調べたりパソコンの文章を読んだりしている最中にも敵が近づく可能性があり、「情報を見ること」と「周囲を警戒すること」を同時には行えない設計になっている。
戦うだけではない。ステルスも重要に
戦闘についても、これまでとは少し異なる方向性が強くなっている。敵に対して近接武器や銃器で戦うことはできるものの、すべての敵を正面から倒すゲームではなく、物陰に隠れたり、敵の視線を切ったりしながらやり過ごすステルス要素も用意されている。
主人公は車やフェンスなどを利用して身を隠し、角から覗き込んで敵の位置を確認できる。追われた場合にはロッカーなどへ隠れることもできるが、敵に隠れる瞬間を見られていれば引きずり出される。一人称視点によって「敵がどこにいるのか分からない」という状況を作り、それをCRTVや音を頼りに判断するというのが、『Townfall』の大きな特徴になっている。
海外レビューは好調。ただしステルスには賛否も
発売に先駆けて海外レビューも公開されており、9月23日時点ではMetacriticのPS5版が81点前後、OpenCriticが82点前後。IGNは8点、PC Gamerは89点、Eurogamerは4/5など、おおむね好意的な評価が並んでいる。
特に共通して評価されているのが、セントアメリアの作り込み、音響、霧に包まれた雰囲気、ストーリー、そして一人称視点によって生まれる緊張感だ。PC Gamerは世界観や物語、CRTVを使った仕組みを高く評価し、GamesRadarも音響や雰囲気、物語面を評価している。シリーズの特徴である心理的な恐怖を残しながら、別の地域、別の視点から新しい「SILENT HILL」を作ろうとした部分は一定の評価を得ているようだ。
一方で、すべてが高評価というわけではない。VGCは3/5とし、雰囲気や舞台、ストーリーを高く評価しながらも、中盤以降のステルス部分について強い不満を示している。敵の種類が少ないことや、一部のパズルが分かりにくいという指摘もあり、「ホラーとしての雰囲気は優れているが、ゲームプレイの一部には粗さがある」という評価が海外レビューのひとつの傾向になっている。
3年連続で続く「SILENT HILL」復活
『Townfall』単体だけでなく、ここ数年の「SILENT HILL」シリーズ全体の動きも興味深い。2024年にはBloober Teamが手掛けた『SILENT HILL 2』、2025年には日本を舞台とした『SILENT HILL f』、そして2026年にはスコットランドを舞台とする『Townfall』と、同じシリーズでありながら開発会社も舞台もゲームデザインも異なる作品が3年続けて登場している。
かつてのシリーズをそのまま再現するだけではなく、『f』では日本、『Townfall』ではスコットランドへ舞台を広げ、今回は一人称視点にも踏み込んだ。KONAMIが現在の「SILENT HILL」をひとつの固定されたゲームデザインに戻すのではなく、異なる開発チームにそれぞれの解釈を持たせながらシリーズを広げようとしていることが見えてくる。
一人称になったことで『SILENT HILL』らしさが失われるのか、それとも視界の狭さやCRTV、音を利用することで、これまでとは違う心理的恐怖が生まれるのか。海外レビューを見る限り、その試み自体はおおむね好意的に受け止められているようだ。『SILENT HILL: Townfall』は2026年9月24日発売。対応プラットフォームはPlayStation 5、Steam、Epic Gamesとなっている。



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