Nintendo Switch 2専用ソフト『ファイアーエムブレム 万紫千紅』が9月17日に発売された。海外では『Fire Emblem: Fortune’s Weave』のタイトルで展開されており、レビュー解禁後は高得点が相次いでいる。
レビュー集計ではMetacriticで89点/100点を記録。『ファイアーエムブレム 風花雪月』と並ぶシリーズ2位タイの水準で、現時点では『ファイアーエムブレム 覚醒』の92点/100点に次ぐ評価となっている。ただし、各レビューを読んでみると「すべてが満点級」というわけではない。IGNやVGCなどが最高評価を付ける一方、7~8点台の媒体もあり、その理由を追っていくと本作ならではの特徴が見えてくる。まずは、『万紫千紅』がどんなゲームなのか、これまでの『ファイアーエムブレム』と何が違うのかを整理しておきたい。
『万紫千紅』は、マス目状の戦場で仲間を動かして戦うシリーズ伝統のシミュレーションRPGを軸にしつつ、従来作以上にRPG要素を拡大した作品だ。4人の主人公の物語を自由に切り替えながら進め、最後にはそれぞれの物語や育成結果が一つへ集約される。『風花雪月』のように序盤で勢力を選んでルートが分岐するのではなく、複数の物語を行き来できるのが大きな違いで、ワールドマップ探索やダンジョン、仲間集め、主人公ごとに異なる育成・探索要素も大幅に増えている。
『ファイアーエムブレム 万紫千紅』主要海外レビュー
| メディア | 評価 | 主な評価 |
|---|---|---|
| IGN | 10/10 | 戦術、時間管理、4人の物語が高いレベルで融合 |
| VGC | 5/5 | FEファンだけでなくSRPG初心者にも勧められる完成度 |
| GameSpot | 9/10 | 過去作の長所を発展させたシリーズの新たな到達点 |
| CGMagazine | 9/10 | 戦闘、仲間集め、物語を高く評価。100時間超の大作 |
| Destructoid | 9/10 | シリーズ未経験でも楽しめる奥深さと戦術性 |
| Pocket Tactics | 9/10 | 圧倒的な規模と戦略性。一方で管理要素は多い |
| GamesRadar+ | 4/5 | 戦闘と物語は優秀だが、作業的な要素がテンポを損なう |
| RPG Site | 8/10 | 戦闘・探索・管理は優秀。ただし物語構成に粗さも |
| Nintendo Life | 8/10 | 戦闘はシリーズ屈指。一方で後半のペースと管理が重い |
| Gfinity | 7/10 | 戦術部分は優秀だが、探索や作業量が多すぎる |
IGN、VGC、GameSpotなどは非常に高い評価を付けている一方、GamesRadar+、RPG Site、Nintendo Lifeでは8点台、Gfinityでは7点まで下がっている。ただし興味深いのは、低めの評価を付けた媒体でも「戦闘そのもの」への評価は高いことだ。つまり、『万紫千紅』の評価を分けているのはファイアーエムブレム本来の戦術シミュレーション部分ではない。その周囲に追加された、巨大なRPG部分だ。
IGNは満点。「戦場」と「戦場以外」が一体になったことを高く評価

IGNは10点満点を付けた。特に評価しているのが、従来のファイアーエムブレムが持っていたターン制の戦術だけでなく、戦闘までの時間の使い方、仲間の育成、探索、4人の主人公それぞれの物語までが、一つの戦略としてつながっている点だ。本作ではカイ、ディートリヒ、セオドラ、レダという4人の主人公の物語を自由に行き来でき、それぞれ異なる仲間や能力、状況を持つ。
単純に「同じゲームを4周する」のではなく、4本の物語が最終的に一つへ収束する構造になっていることが、高く評価されている。Nintendo Lifeがまとめたレビューでも、IGNは「もう80時間遊びたい」とするほどゲームシステムと物語の融合を評価している。
VGCは5点満点、「Switch 2を代表するRPGになる」と評価
VGCも最高評価となる5点満点。4人の主人公それぞれの物語について、「それぞれ一本のファイアーエムブレム作品として成立するほど」と評価しており、それらを一つの作品にまとめたボリュームと構成を高く評価している。
特に戦闘についてはシリーズでもトップクラスと評価。ファイアーエムブレム経験者だけでなく、SRPG初心者の入口としても適していると結論付けている。一方で、仲間との支援レベル上げや、新たに導入された「Clash」システムについては単調さも指摘している。
満点を付けた媒体でも、すべての要素を絶賛しているわけではない。
9点台の媒体も「とにかく巨大」と口をそろえる
CGMagazineは9点。レビュアーは40時間プレイした段階で、まだ最初の主人公の物語の一部しか終わっていなかったとしており、最終的には100時間を超える作品として紹介している。戦闘、仲間のリクルート、物語については高く評価する一方、「もっと引き締めれば70時間程度にできたのではないか」とする趣旨の指摘もある。
Destructoidも9点。こちらのレビュアーはシリーズ未経験だったが、戦術戦闘の奥深さやキャラクター、膨大なカスタマイズ要素を評価している。ただし、覚えるシステムや読む文章、操作するメニューが非常に多く、複数の物語を進めながら戦力を整える作業が重く感じられる場面もあるとしている。
Pocket Tacticsも9点を付け、「巨大」という表現を使っている。戦略ゲームとしての核は非常に高く評価する一方、プレイヤーが管理しなければならない要素の多さは欠点として挙げた。
8点組が指摘する「面白いけど、やることが多すぎる」

評価が少し下がると、各媒体の指摘はさらに共通してくる。
GamesRadar+は4点/5点。戦術戦闘や4人の物語は高く評価しているが、探索、資源管理、仲間集めなどの細かな作業が多く、物語の勢いを止めてしまうと指摘している。レビュアーは85時間で一度エンディングまで到達しているが、それでも他の主人公のルートは残っていた。戦闘については終盤になるほど難度と戦術性が増し、高く評価しているだけに、その間にある大量の作業が惜しいという評価だ。
RPG Siteのプレイ時間はさらに長い。クリアまで161時間。本作について「これまでレビューしたゲームの中でも最も長く、複雑な作品の一つ」としながらも、その大半を楽しめたとして8点を付けている。特に戦術戦闘、時間管理、探索システムを評価。一方で、複数の物語を組み合わせたことでストーリー全体が散漫になる部分も指摘した。
Nintendo Lifeも8点。約80時間プレイし、戦闘についてはシリーズでも特に完成度が高いと評価している。しかしワールドマップ上の移動や管理、後半のテンポ、新たなClash Battleなどには不満を示した。
最も厳しい7点評価「戦術ゲームなのに、戦術以外が多すぎる」
今回確認した主要レビューの中で特に厳しいのがGfinityの7点だ。ただし、ここでもグリッド式の戦術戦闘自体は高く評価されている。問題としているのは、その戦闘にたどり着くまでにリアルタイムダンジョン、探索、仲間集め、会話など大量のRPG要素が存在することだ。
同メディアは「戦術ゲームとしての核が、JRPG的な探索や作業に埋もれている」という見方をしており、シリーズを純粋な戦術シミュレーションとして遊んできたプレイヤーほど戸惑う可能性を指摘している。
各レビューから見えた『万紫千紅』の評価

ここまでレビューを並べてみると、意外なほど評価ポイントは一致している。まず、ほぼ共通して高く評価されているのが「戦闘」だ。従来のグリッド式ターン制戦闘を軸に、新たな能力や複雑なマップ、敵の増援、環境を利用した戦術などを組み合わせ、シリーズ経験者からも高い評価を得ている。物語についても、4人の主人公を切り替えながら進め、最後に一つの大きな物語へつなげる構造そのものは好意的に受け止められている。
Switch 2になったことで、映像表現やロード時間、広大なマップの描写も過去作から大きく改善した。任天堂の開発者インタビューでも、本作では『風花雪月』からさらに探索範囲を広げ、ワールドマップやダンジョンを自由に歩ける「RPGらしさ」を意図的に強化したことが説明されている。そして、まさにそこが評価の分かれ目になった。
シリーズ最大級の野心作。ただし「大きすぎるゲーム」でもある
レビュー全体から見ると、『ファイアーエムブレム 万紫千紅』は、シリーズの戦術部分を崩して評価された作品ではない。むしろ戦闘については、満点評価から7点評価までほぼ共通して褒められている。評価が分かれているのは、その周囲にどこまでゲームを広げる必要があったのか、という部分だ。4人の主人公、広大なワールドマップ、探索、ダンジョン、仲間集め、交流、育成、時間管理。そして100時間を超えるボリューム。それらを「これまでで最も豪華なファイアーエムブレム」と受け取った媒体は9~10点を付け、「戦術ゲームを遊びたいのに、それ以外の作業が多すぎる」と感じた媒体では7~8点まで評価が下がった。
レビュー解禁時のMetacriticは89点。『風花雪月』と並び、シリーズでも上位に位置する評価となった。ただ、数字以上に興味深いのは、評価が高い理由と低い理由が表裏一体になっていることだろう。『万紫千紅』最大の長所は、その圧倒的なボリュームと自由度。そして最大の弱点もまた、その圧倒的なボリュームと自由度なのかもしれない。
ファイアーエムブレムの戦闘だけを濃密に楽しみたい人にとっては、少し遠回りの多い作品になる可能性がある。一方、『風花雪月』のようにキャラクターや世界そのものへ長時間浸りたいプレイヤーには、シリーズでも特に満足度の高い一本になりそうだ。



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