『スーサイド・スクワッド キル・ザ・ジャスティス・リーグ』レビュー|炎上の理由は? 実際にプレイしてみた感想

3.5
Playstation

2024年1月にPlayStation 5、Xbox Series X/S、Steam向けに発売した『スーサイド・スクワッド キル・ザ・ジャスティス・リーグ』。発売前からストーリーの一部が流出して炎上したうえ、発売後には本国で批判が集まった問題作だ。本当にそこまでひどい内容なのか実際にプレイしてみた。

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ヒーローを倒してヴィランが世界を救うストーリー

このゲームは「バットマン:アーカム」シリーズを手掛けたRocksteady Studiosが開発。そのため、広いエリアを自由に移動するオープンワールドな世界観やマップは同様のシステムで爽快感がある。なお、2015年に発売した『バットマン・アーカムナイト』の5年後を描いた世界である。

日本では、スーサイド・スクワッドといえば2016年に公開された映画から認知度が広がった。通常マーベルやDCコミックスのアメコミは、ヒーローがヴィランの悪事から世界を守るというのが定番であるが、スーサイド・スクワッドはヴィランを主役として描かれた作品であり、このゲームもヴィランが主役となっている。

登場する主役はハーレイ・クイン、デッドショット、キャプテン・ブーメラン、キング・シャークの4人。これらは好きなタイミングでプレイするキャラクターを切り替えることができる。ざっくりとしたストーリーは、ブレイ二アックという強敵にジャスティス・リーグのヒーローたちが洗脳されてしまい、スーサイドスクワッドが洗脳されたヒーローを倒しながら世界を救うというもの。ストーリーは4人の漫才のようなセリフと共に進行していく。その様は映画を見ているような感覚であり、絶望感のある世界観ながらもユーモアに富んだ内容となっている。

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爽快感とテクニカルが混在した戦闘システム

前述したようにマップはかなり広い。ファストトラベルで移動できるのは主要基地としている場所のみ。この場合、移動が煩わしかったりするものだが、それぞれキャラクターごとに移動アビリティを備えており、ハーレイ・クインはグラップルガン、デッドショットはジェットパックというように快適に移動が可能だ。また移動の途中で敵が歩いていたり、陣取っていたりするので退治しながら移動すればあっという間に目的地に到着する印象だ。

攻撃は2種類の銃と近接武器、グレネードで行う。戦闘のシステムは単純に攻撃すればサクサク倒せるというものではなく、敵のシールドを破壊しなければいけない点や、回復アイテムを得るために足元を狙ったり近接武器で攻撃しないといけないといった奥深いものとなっており、銃と近接武器をうまく駆使する必要がある。その一方で必殺アビリティやグレネードで敵を一掃するといった爽快感も兼ねており、数多くの敵と戦う“乱闘”らしさは非常に良く作り込まれている。戦闘中の移動も非常にスムーズで、的確に思った場所に移動可能。射撃のエイムもそれほど難しくもなく、ちょうどいい具合と言える。敵へのロックオン機能が無く、近接武器の際は自動で身近な敵に向くようになっており、これも爽快感を作り出しているポイントだろう。一方でマップは建物による高低差が多く、ミッションなどでは敵がどこにいるのか少しごちゃごちゃしていてわかりにくい。一応、周囲を一瞬スキャンする機能もあるが、あまり役に立たたない。

操作に慣れるまで多少時間はかかるが、慣れてしまえばそれほど難しくはない。とはいえ、ボス戦はそれぞれ戦い方が異なり、カウンターを決める必要があったり、アイテムを集めながら戦うなどテクニックを要する場面もあり、戦闘の面白さはなかなか評価できる。

プレイしているキャラクター以外の3人はCOMとして移動し、戦闘に加わってくれる。これにはオンライン協力プレイ機能も実装されていて、友達と一緒にオープンワールドを楽しみながら戦うというスタイルもできる。

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装備アイテムの課金前提がもったいない!

キャラクターは経験値によってアビリティを習得したり、スキルを獲得することができる。また、武器類もコモン、アンコモン、レジェンドなどランク分けされており、より強い4人分の武器を手に入れる楽しみがある。武器は基本的にミッションをクリアしたり敵を倒すとドロップできるが、入手できるのはほぼゴミのような武器ばかり。基地に戻ると武器のクリエイトが可能で、最低限の強さの武器を作り出すことができるのが救いではあるが、ドロップ率に関してはもう少し改善の余地があるといえる。

ミッションごとに“準備万端”という適正キャラクターが指定され、そのキャラクターを使うとステータスアップや経験値アップというボーナスを受けることができる。これもあってか、4人のキャラクターを均等に使用する意欲にもなり、誰か1人だけを使い続けてしまい、他のキャラクターが育たないということもない。また、使い勝手もほとんど共通アクションなのでキャラクタによる優劣はほとんどないと言える。ひとつ言うなれば、デッドショットとキャプテン・ブーメランは近接攻撃も射撃になるのでリーチが長いということくらいだろうか。

キャラクターは装備を変えると見た目も変わり、コスチュームやエモートも用意されている。この辺の作り込みは非常に良く表現されている。しかし、残念ながら無料でプレイしている分にはコスチュームはほとんど手に入れることができない。

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アメコミ好きはぜひプレイしてみて!

総評すれば戦闘の爽快感、マップの広さと作り込み、ストーリーの面白さは健在で、それほど悪くはないんじゃない?という印象。今回はPS Plusの2025年1月のフリープレイとして登場したのでプレイしてみたが、アメコミ好きであれば3000円くらいだったらプレイしてみても価値はあるんじゃないかなと思う。

問題作となった炎上の理由

一方、本国ではなにが炎上していたのか気になるところだ。レビューなどを見るとだいぶ酷評されているものも目立つ。ではなにが酷評されているのか?というとその大半はストーリーによるもの。

ヴィランがヒーローたちを順番に殺していくというストーリーに問題があるようだ。因みに、その映像も過激なものが多々ある。そういったことにアメコミファンの本国の人たちは納得できなかったのかもしれない。日本人からすればパラレルワールド的なスピンオフ作品としてヴィランが主人公になったら…というのは全然受け入れられる話だろう。もちろん、ストーリーそのものが面白いか否かについては様々な意見があると思う。

次に、ゲームのシステムで批判が多かったのがバトルパスや課金アイテムについてだ。前述したようにコスチュームはほとんど手に入らないし、武器も最低限のものしか入手できない。このあたりは課金ありきで設計されており、批判が集まるのも理解できる。もう少し無料のアイテムとのバランスを取る必要があるだろう。

良い点

  • ユーモアのあるストーリー
  • 忠実に描かれたキャラクターの個性やセリフ
  • 単調にならない戦闘システム
  • オープンワールドの作り込みと機動性

悪い点

  • 無料/課金アイテム入手のバランス
  • ミッションの条件や説明が若干不足