協力型シューティングゲームの代表的なタイトルとして長年人気を誇る『Payday』シリーズ。その最新作である『Payday3』が登場したが、プレイヤーからは賛否の声が上がっている。本作は4人のチームを組んで強盗ミッションを遂行するゲームであり、計画的なステルスプレイと激しい銃撃戦が楽しめる。しかしながら、ゲームシステムやプレイヤーの連携に関する問題点も多く見られる。今回はその詳細をレビューしていく。
『PAYDAY3』のゲーム性と浮き彫りになる課題

『Payday3』の操作は一般的なFPSと同等で、エイム操作は比較的容易である。プレイヤーはミッションごとに戦略を考えながら、銀行や美術館、カジノなどの施設を襲撃する。ミッションの最初にはオペレーターが作戦の説明をするが、銃撃戦や隠密行動に集中しなければならないため、字幕を読む余裕がほとんどない。そのため、初心者プレイヤーにとっては次に何をすべきかがわかりにくく、気づいたら敵に発見されてしまうことが多い。総じて説明不足であることがこのゲームの最大の欠点と言える。
さらに、ミッションのルールを十分に理解していないプレイヤーが多く、マルチプレイではチームメイトが好き勝手に動き回る場面が頻繁に見られる。特に、ステルスプレイを重視するミッションでは、チーム内の連携が重要だが、誰かが敵に見つかると即座に戦闘が発生し、ミッションの成功が難しくなる。加えて、『Payday3』には音声チャット機能がないため、チームメイトとのコミュニケーションがテキストチャットやジェスチャーのみとなり、戦略的な連携が取りづらい。
ミッションのバリエーションとボリューム不足
本作で用意されている強盗ミッションは悪人暇なし、ロード・レイジ、穢れたダイヤ、揺りかごを揺らせ、サーフェイズの舞台裏、ゴールド&シャーク、99個の箱、タッチ・ザ・スカイのわずか8種類。前作『Payday2』では30以上のミッションが用意されていたことを考えると、大幅なボリュームダウンと言える。分かりにくいが一応簡単なチュートリアルが用意されており、操作説明程度のレクチャーは最初に行える。しかし、ミッションのルールや手順を教わることがないため、理解するのが非常に難しい。初心者にとっては取っつきにくく、経験者にとってはコンテンツの少なさから飽きが早く来る可能性が高い。

初心者は1人用モードが用意されているので、そちらから練習してみるのが良い。仲間はAIのCOMが3名アテンドされ、同じくマルチプレイであってもマッチングでプレイヤーが集まらなかった場合や、途中でメンバーが抜けてしまった場合にはAIのCOMが代わりに参加するが、このAIの動作が非常に単調で、戦闘能力も低いため、あまり役に立たない。特に難易度の高いミッションではAIが足手まといとなり、実質的にプレイヤーが1人でクリアしなければならない場面もある。
しかし、2023年9月に発売となったタイトルであるが、1人用モードがいまだにβテスト中となっているのはいかがなものか…。
新たなアクションとカスタマイズ要素

一方で、本作では多彩なアクションが用意されている。人質の確保や交渉、扉のピッキングやドリルによる開錠など、強盗ミッションならではのリアルな操作が楽しめる。特に、敵との交渉を通じて人質を解放させるシステムは、他のFPSゲームにはないユニークな要素である。そのほか、守りを固めるために窓に板を貼ったりと、アイテムを拾ってくることで可能なアクションも多々ある。

また、プレイヤーはプライマリ武器、セカンダリ武器、設置型アイテム、オーバーキル武器、アーマー、投擲物、ツールなどの装備を整え、スキルを開放していくことで強化が可能。スキルは100種類以上あり、プレイスタイルに応じたカスタマイズが可能である。衛生兵、弾薬スペシャリスト、掃討者、潜入者、タンクなど、さまざまな21カテゴリーが存在し、やり込み要素は高い。
新要素として、オーバーキル武器が追加された。敵を倒してゲージを溜めると、強力な武器を支援物資として要請できる。かなり強力な武器が手に入るという要するにウルトのようなものだ。しかし、これまた投下される場所がランダムであり、時には敵陣のど真ん中に落とされこともあるなど、あまり機能しないことが多い。また、序盤ではグレネードランチャーがオーバーキル武器として使えるが、非常に扱いにくいのであまり戦力にはならない。
オンラインプレイの問題点

『Payday3』はログインアカウントの作成が必須であり、オンライン状態でしかプレイできない。しかも、サーバーが重いせいか、ログインに3分ほどかかってしまう。さらに、2025年2月のPlayStation Plusのフリープレイとして登場した際、一時的に大量のプレイヤーがアクセスしたため、セキュリティ認証のログインに時間がかかり、クイックマッチのマッチングも困難な状態となった。オンライン専用ゲームでありながら、サーバーの負荷に耐えられないのは大きな問題点と言える。
グラフィックと総評

本作のグラフィックはそれなりに綺麗で鮮明であるが、細部に目を向けると若干クオリティの低い部分が見受けられる。なお、前作に比べればキャラクターモデルやエフェクトは前作より多少向上している。銃撃戦の迫力はあるものの、グラフィックの進化を期待していたプレイヤーにとってはやや物足りなさを感じるかもしれない。
総じて、『Payday3』は協力プレイを重視したゲームであり、強盗ミッションというコンセプトは非常に魅力的である。しかし、音声チャットの欠如、ミッションの少なさ、AIの弱さ、オンライン環境の問題など、改善すべき点が多い。フレンドと連携しながら遊ぶ場合は楽しめるが、野良プレイヤーとのマッチングではフラストレーションが溜まることが多いだろう。
そもそもPayday3は開発陣も失敗作であることを認めてしまっている。発売直後にサーバーがダウンし数日間遊べないという問題が発生。その後、多くのプレイヤーが戻ってこなかったという。結果として開発会社StarbreezeのCEOは責任を取って退社している。フリープレイで一時的にプレイヤーは増えたものの、それまではプレイヤーが少なく過疎化していたという事実もある。このまま幕を下ろすのか、アップデートで改善していくのかという点では前者の可能性が高いのかもしれない。