買収交渉と大規模再編の中で進むWB再構築、ゲーム事業は?
ワーナー・ブラザース・ディスカバリー(WBD)は現在、企業として極めて重要な局面に立たされている。NetflixとParamount Skydanceによる買収をめぐる攻防が続き、経営の行方は不透明である。特にWBD取締役会は、Paramountからの最新提案を精査中とされる一方、Netflixはすでに総額830億ドル規模の買収契約を締結していると報じられている。
この買収劇の焦点の一つが、Discovery Globalのスピンオフ計画である。CNN、TNT、Discovery Channel、HGTV、Food Networkなどのリニアチャンネル群をどう扱うのかが大きな争点だ。Netflixはリニアチャンネルを取得しない方針とされる一方、Paramount Skydanceは企業全体の取得を目指している。さらにWBDは約330億ドルの長期債務を抱えており、Discovery Globalの分社化後も債務比率3.3倍を「持続可能」と説明している。
こうした財務・経営の大局的な動きと並行して、エンターテインメント事業は“創造的ルネサンス”を掲げる。CEOデビッド・ザスラフ氏は、過去14か月で9本の映画が全米初登場1位を記録した実績を強調し、2027年の映画ラインアップを「驚異的」と表現する。HBOも過去最強のコンテンツ体制にあるとされ、来年からは10年規模で展開するハリー・ポッター新シリーズが始動予定だ。
この映像部門の強化は、ゲーム事業とも密接に結びついている。
2025年はリセット、2027年に成果――WB Gamesの戦略

WBDのグローバルストリーミングおよびゲーム部門を統括するJB・ペレット氏は、ゲーム事業について「2025年はリセットの年だった」と明言した。過去には多くのタイトルに広く手を伸ばしすぎ、スタジオ体制も拡大しすぎた結果、効率を欠いたと総括している。
その象徴が、ゲーム開発を担うMonolith Productionsの閉鎖と『ワンダーウーマン』の開発中止である。さらに『MultiVersus』を提供していたPlayer First GamesやWB Games San Diegoも閉鎖された。痛みを伴う整理を経て、同社は戦略を明確に再定義した。
今後は「ハリー・ポッター」「モータルコンバット」「DC」「ゲーム・オブ・スローンズ」という中核タイトルへ集中投資する方針である。ペレット氏は「本当の成果は2027年から2028年にかけて見えてくる。我々の最大級フランチャイズに回帰する」と語る。
具体名は伏せられているが、HBO版ハリー・ポッターの始動と『Hogwarts Legacy』の世界的成功を踏まえれば、続編開発は極めて自然な流れである。映像とゲームを同期させる戦略は、ディズニー型のタイトル循環モデルを目指す動きとも解釈できる。
2025年にはその布石となるタイトルが控えている。『レゴバットマン: Legacy of the Dark Knight』は、DCブランドを安全かつ強力に再活性化する役割を担う。また、『ゲーム・オブ・スローンズ』のモバイルゲーム『Dragon Fire』は、HBOブランドの拡張とモバイル市場攻略を同時に狙う。
Rocksteady Studiosの次回作にも注目が集まる。2024年の『スーサイドスクワッド: Kill the Justice League』は大きな挑戦であったが、次はより堅実でDCの中核に近いプロジェクトになる可能性が高い。
WBDは現在、企業売却という歴史的決断の瀬戸際にある。しかし、どの企業体制になろうとも、強力な各タイトルは最大の資産である。映画・ドラマ・ゲームを横断する統合戦略が機能すれば、2027年から2028年はWB Games復活の年となる可能性が高い。
買収の帰趨、債務処理、スピンオフの成否。これら経営課題の先にあるのは、再び主力フランチャイズがゲーム市場の中心に躍り出る未来である。WB Gamesの真価が問われるのは、まさにこれからである。

