『ワンダと巨像』『ブラッドボーン』復活の夢途絶える、Bluepoint Games閉鎖の衝撃

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ソニー・インタラクティブエンタテインメントは、PlayStationファンにとって象徴的な存在であったBluepoint Gamesを3月に閉鎖すると発表した。約70名の従業員が影響を受ける見込みであり、今回の決定は「最近の事業見直し」の結果であると説明されている。

Bluepoint Gamesは『Demon’s Souls』リメイクをはじめ、『ワンダと巨像』『ICO』『アンチャーテッド ネイサン・ドレイク コレクション』『GRAVITY DAZE リマスター』『メタルギアソリッド HD コレクション』など、数多くの高品質なリマスター・リメイク作品を手がけてきた名門スタジオである。その技術力と原作への深い理解は高く評価され、PlayStationコミュニティに卓越した体験を提供してきた。しかし、業界環境の急速な変化とソニーの戦略転換の中で、その歴史に幕が下ろされることとなった。

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『Demon’s Souls』の成功からライブサービス中止へ

Bluepoint Gamesは2006年、元レトロスタジオのアンディ・オニール氏とマルコ・スラッシュ氏によって設立された。最初のタイトルはPSN向けダウンロード専用シューティングゲーム『Blast Factor』であったが、スタジオの評価を決定づけたのはその後のリマスター事業である。

PSP向け『ゴッド・オブ・ウォー コレクション』を皮切りに、ソニーのバックカタログを現行機向けに蘇らせる役割を担った。PS3版『ICO & ワンダと巨像 コレクション』、PS Vita版『GRAVITY DAZE』のPS4移植、さらには『アンチャーテッド ネイサン・ドレイク コレクション』など、名作の価値を再定義するプロジェクトを数多く成功させてきた。

そして2020年、PS5ローンチタイトルとなった『Demon’s Souls』リメイクでその評価は頂点に達する。ビジュアルとゲーム体験を現代水準へ昇華させたこの作品は、次世代機の実力を示す象徴的タイトルとなった。

ソニーはその翌年2021年にテキサス州オースティン拠点の同スタジオを買収。BluepointはPlayStation Studiosの正式な一員となり、『ゴッド・オブ・ウォー ラグナロク』の共同開発にも参加した。

しかし、その後スタジオはライブサービス型『ゴッド・オブ・ウォー』作品の開発に取り組んでいたと報じられる。このプロジェクトは2025年初頭に開発中止となった。昨年にはBluepointとベンドスタジオのライブサービスゲームがキャンセルされたとの報道もあり、当時ソニー広報は両スタジオの閉鎖を否定していた。

それでも結果として、Bluepointは閉鎖に至った。ファンの間では『ブラッドボーン』をはじめとするPlayStationクラシック作品のリメイクを同スタジオが手がけることへの期待が長年続いていたため、今回の決定は大きな衝撃を与えている。

業界環境の厳しさとPlayStationの再構築

PlayStation Studios責任者のハーマン・ハルスト氏は、閉鎖の背景について「業界環境がますます厳しくなっている」と説明している。開発コストの上昇、業界成長の鈍化、プレイヤー行動の変化、そして世界的な経済の逆風が、持続可能なゲーム開発を困難にしているという。

同氏は、事業を綿密に見直した結果、現在の成果を維持しながら将来に向けて確固たる地位を築くための決断であると強調した。また、可能な限り影響を受ける従業員に対し、グローバルなスタジオネットワーク内での機会提供に努めるとしている。

興味深いのは、ソニーの業績自体は堅調である点だ。最新の決算では、4月1日に終了する会計年度のゲーム売上高予想を4%、営業利益予想を2%引き上げており、グループ全体の利益は前年比22%増加している。それにもかかわらず、スタジオ再編が進められている。

Bluepointは、2024年に閉鎖されたネオンコイ、ロンドンスタジオ、ファイアウォークに続き、近年閉鎖された4番目のPlayStationスタジオとなる。ソニーはオンラインマルチプレイヤーのヒット作創出を目指しライブサービス分野へ積極投資してきたが、その試みは必ずしも成功していない。Bluepointがライブサービス開発へ投入されたこと自体を疑問視する声も少なくなかった。

かつてマルコ・スラッシュ氏は、買収発表時に「オリジナルコンテンツ制作が進化の次のステップである」と語っていた。昨年にはサードパーソンアクションゲームの人材募集も行っており、独自IPへの挑戦が始まろうとしていた矢先での閉鎖である。

Bluepoint Gamesの歴史は、リメイクという分野を単なる移植作業から芸術的再構築へと引き上げた功績の歴史でもあった。その終焉は、PlayStationの戦略転換とゲーム業界全体の構造変化を象徴する出来事と言える。

今後PlayStation Studiosがどのような創造性と革新性でプレイヤーに応えていくのか。その行方が問われている。