映画「変な家」レビュー: 独自の世界観とミステリー要素が魅力【ネタバレなし】

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ホラー作家兼YouTuberの雨穴氏が手掛けた「変な家」は、YouTubeから始まって書籍化、漫画家、そして映画化と快進撃が続いています。書籍版の「変な家」「変な家2」と読みましたが、なかなかに良くできていて楽しめました。ところがYahooの映画レビューでは★2.8(5点満点中)と酷評。賛否両論あるようですが、鑑賞した感想を綴ります。

まずはじめに、映画「変な家」は原作「変な家」「変な家2」のストーリーを融合させ、ひとつのストーリとしています。大まかなあらすじは以下。

オカルトYouTuberの雨宮は、マネージャーから引越し先の家の間取りが変だ。と相談を受けます。雨宮はその間取りの真意を確かめるためにオカルト好きの設計士である栗原に話を持ちかけた。すると、奇妙な違和感が次々に浮かび上がっていく…。その真意を確かめていく雨宮に、家の関係者である柚希から相談を持ちかけられる。彼女の家族の過去を探るうちに、恐るべき秘密と真実に直面することとなる…。
▼映画「変な家」公式サイト

恐怖心を細部で演出!見方によってはB級映画に見えてしまうけどそれが◎

変な家はホラー映画のジャンルになりますが、「リング」や「呪怨」といったホラーとは一風変わった独自の世界観とミステリアスな雰囲気が魅力です。金田一耕助シリーズのようなミステリー映画を思わせる要素が見られ、観客は予測不可能な展開に引き込まれます。特に印象的だったのは、所々で出てくる翁の面。これが恐怖心を掻き立て、ホラー映画らしさを演出しています。静かなシーンから「バンッ!!」と驚かすシーンはホラー映画あるあるですが、今作では間合いなどが良くできており、隣で鑑賞していた女子高生たちは声を出して驚いていた(ちょっと鬱陶しかったw)ので、これは演出が成功している証拠です。また、映像の色彩エフェクトも不気味さを掻き立てており、それに加え、主役の間宮祥太朗氏の手持ちカメラの映像を各シーンに使用することでリアリティを演出したとあり、そういった工夫も新鮮でした。

原作と違くて酷評!ストーリーの良し悪し

一方、ストーリーについては物語の展開が速いです。書籍版「変な家」の間取りの話は始まって20分くらいで違和感の謎が解かれていきます。こんなに冒頭から解決していって大丈夫?と思うほどに…。この映画の全体的に言えることは、佐藤二朗演じる栗原が鋭すぎるということです。次から次に解決していってしまうので、観客が推理を楽しむ時間が無く、現実味に欠けてしまいます。また、ネット上の声では、映画が原作と異なりすぎるということから賛否が分かれています。しかし、私としては、新たな展開が楽しめることから映画ならではのアレンジや演出もアリではないかと思いました。

ホラー映画の中では好印象、映画鑑賞後の書籍版もおすすめ!

総じて、「変な家」は、原作ファンにとっては新たな展開が楽しめる作品です。ストーリーの展開に改善の余地はありますが、佐藤二朗の個性的な役作りなどキャストは上手くはまっていると感じました。直近のホラー映画は、どうしても明らかにB級映画感が否めないものが散見されます。例えば、「犬鳴村」「きさらぎ駅」「N号棟」(どれも評価は低い)。特に意味や意図が分からない映画は後味が悪く、「何を見させられていたのだろう?」と感じてしまいます。そういった意味でも「変な家」はストーリーがシンプルかつ分かりやすく、ミステリー要素も含んでいることからひとつひとつを佐藤二朗氏が解説してくれます。おそらく、YouTubeや書籍版、漫画版の評価が高かったが故に期待して鑑賞した人が多く、ハードルが上がってしまったことが賛否両論につながったのでは無いかと思います。

個人的な感想としては、ネットの評価以上の面白みを感じることができましたが、詰めが甘い部分が多数…。「あの演出はなんだったのか?」「そんなタイミング良く現れないよね…」「そんな簡単に立ち入れる?」といった現実味に欠ける謎が残ります。雨穴さんが原案を提供しているTVドラマ「なにかがおかしい」もリアリティに欠けており、ホラーとは程遠い作品になっているのでリアリティの追求がもう少し欲しい所。