「モンスターの配合」が楽しいドラクエモンスターズ3の評価と感想

Nintendo Switch

22年ぶりのナンバリングタイトルとなった「ドラゴンクエストモンスターズ3(DQM3)」。初代DQMと共に少年時代を過ごした身としては、とても期待値の高いタイトルです。初代DQMやDQM2に夢中になった私がDQM3をレビューします。

22年ぶりに発売!ドラゴンクエストモンスターズの魅力

初代ドラゴンクエストモンスターズ(テリーのワンダーランド)が発売された当時、ドラゴンクエストは6まで発売していました。私はモンスターズをプレイする前に、ドラゴンクエスト1、2、3、5、6をプレイしていた記憶があります(全クリしていないタイトルも有り)。しかし、私が小学生だったこの時代に、ドラゴンクエストをプレイした友達は数えるほどしかいません。それよりも初代ポケモンが流行していたため、私を含め、ほとんどの人がポケモンに夢中でした。

そんな中で発売されたテリーのワンダーランド。ポケモンは育てる+進化する+交換するという魅力が詰まっていましたが、これに「配合する」を付け加えたのがモンスターズの最大の魅力です。決められたモンスター同士を配合して強いモンスターを作ることに誰もが熱中しました。また、親の強さが子供のステータスに影響し、技も受け継いで覚えられるというシステムはなんとも画期的で、モンスターの育てがいがあるというものです。

ゲームシステムだけでも十分に楽しめる一方で、ドラゴンクエストシリーズを遊んできた人には、1から6に出てきたお馴染みのモンスターを仲間にすることができ、さらには1〜6に出てきた強敵がボスとして登場し、出てきたタイトルの冒険時のBGMが流れるのです。BGMが流れると「あの敵強かったなー、さんざん遊んだなー」と思いふけることもしばしば。また、主人公は6に登場した剣士のテリー、姉がミレーユという設定で、6が大好きな私にはとても馴染み深い内容でした。もちろん、ドラゴンクエストシリーズを遊んだことが無い友達もどっぷりとモンスターズにハマっていたことが記憶に残っています。

なお、テリーのワンダーランドが発売されたのが1998年。この翌年にはポケモン金・銀が発売されました。これもはたまた大ヒット!それぞれに良さがありましたが、モンスターを育てる楽しみで言えばモンスターズに武が上がり、ストーリーを楽しむのであればポケモンという印象があります。ポケモン金・銀になるとリアルタイムの時間に合わせて朝、昼、夜というゲーム内で時間が流れるシステムが導入され、とても興奮したのを覚えています。

DQM3の魅力とは?モンスターズシリーズの楽しさは健在か

あれからモンスターズもだいぶシステムが変わりました。テリーのワンダーランドは、あまりストーリー性は無く、旅の扉を次々にクリアしていくというイメージがあります。これがモンスターズ2(マルタのふしぎなカギ)になると、ステージごとにストーリーがあり、ストーリー性にも注力していたことが分かります。

今回のモンスターズ3は、ドラゴンクエスト4に登場するピサロが主人公となり、魔王である父親を倒しに行くというのがざっくりとしたストーリーです。それなりに注力していると見受けられますが、世間のストーリーに対する評価はかなり悪いコメントが多く見受けられます。ただし、私はモンスターズの魅力はモンスターを育てる・作ることにあると思います。強いモンスターを手に入れるためのレベル上げ、ランクの高いモンスターを作る楽しみが醍醐味ではないでしょうか。ドラゴンクエストシリーズは壮大なストーリーが一番の魅力となっており、これを目当てに購入された方は少しがっかりしたのではと考えます。

モンスターを手に入れることがモンスターズの醍醐味!

では、モンスターを育てる・作るといった楽しみは健在か?

ステージにはタマゴが出現。銀、金、虹色などレアリティも異なります。
卵からモンスターが出現!


1、2をプレイしてきた私としては、モンスターの多さは非常に魅力的です。このシリーズのみ登場するオリジナルのモンスターも追加され、配合の面白みが増しました。また、1、2ではモンスターの♂と♀があり、異性同士でしか配合できませんでしたが、今回はどのモンスター同士でも配合することができるため、モンスターを作りやすくなりました。このシステムは良いと思います。さらに新しく追加されたのが、ステージにランダムで出現するタマゴ。タマゴからはさまざまなモンスターが手に入り、タマゴでないと手に入らないモンスターもいます。このシステムも何が出るかワクワクする楽しみがあります。一方で「タマゴでしか手に入らないというのはあまりにも大変だ」という声もちらほら…。

昔はレベル上げに全力を注いだスキルの習得、今作はポイント割り振り型

スキルは低レベルでも一気に覚えることが可能。

次に、技の引き継ぎについてです。モンスターズ3は、スキルポイントを割り振る形で技を覚えます。覚える技がリスト化された特技を最大3つ受け継ぐことができ、その3つにポイントを割り振っていくことで技を覚えます(ドラクエ8と同様)。これが、ある程度(5〜6回くらい)配合を繰り返すと、レベル1の状態でも1〜2個の特技を最大ポイントまで割り振れるようになります。また、おおよそレベル20ぐらいまで上げれば、3つとも最大値まで割り振ることができ、すべての技をコンプリートすることができます。このシステムに関しては、私は面白さが半減している気がしてなりません。

1、2をプレイしていた頃は、モンスターのレベルを上げる、強いモンスターを作るのほかに、強力な技を覚えさせる楽しみがありました。例えば、火の息から火炎の息へ、さらには燃え盛る炎から灼熱へ。と技が強力になっていくことに楽しみや目標がありました。強力な技であるギガスラッシュやジゴスパーク、ビッグバン、さらにはマダンテなどを覚えさせるのには大変苦労した記憶があります。このような技を覚えさせる楽しみはモンスターズ3ではほとんど見出せなかったのは残念だと感じました。

狙ったモンスターと遭遇、愛らしいモンスターたちがステージを巡回

モンスターズが現代版となって大きく変わったのはモンスターとの遭遇方式です。ご存じの通り、昔のドラクエは歩いているとランダムで敵が現れる方式でしたが、近年のゲームが全般的に敵が可視化され、接触すると戦闘モードになります。これによって戦いたいモンスターを選択できるようになりました。無駄な戦闘を省くことはできますが、必要なモンスターに遭遇する楽しみは欠けてしまったように思います。一方で、モンスターの可愛らしさが伝わるといった意見もあるようです。最近のゲームでは当然のことですが、ドラクエ8でモンスターが立体化された時には感動がありました。

戦闘を早送り?戦闘=作業化した近年のゲーム

左下に2倍速と表示され、戦闘は早送りで飛ばせてしまいます。

DQM3では、戦闘時にも2倍速機能、おまかせ機能があり、無駄な時間をかけずにゲームが進められるシステムになっています。私はじっくりゲームを楽しみたいので、このような機能がなくとも楽しめる戦闘を築いてほしかったですね。やはり、2倍速の戦闘を見るとゲーム性の雑さを感じ、戦いの真剣度も薄れてきます。

ドラクエ及びモンスターズファンはとことん遊びたいタイトル

結論としてDQM3は買いかどうか?と問われると、「新品で買うほどではない」という結論に至ります。このゲームはそもそもの醍醐味を知っているかどうかで楽しみ方が変わる気がします。私の世代ですと、とことんモンスターを育成することを楽しめますが、若い年代ではストーリーを楽しみたいという人も多いでしょう。ストーリーを楽しもうと思うといまいちな作品であることは否めません。モンスターの多さや配合のしやすさに魅力を感じ、ドラクエ4に思い入れがある方はぜひ遊んでみてはいかがでしょうか?

最近のスクウェア・エニックスはどれもパッとしないものが続いています。ドラクエで言えば、ドラゴンクエストトレジャーズなんてものもありましたが、話題性は皆無でした…。また、あの名作「ヴァルキリープロファイル」の続編?となる「ヴァルキリーエリュシオン」も発売されましたが全く面白さが分からず、アクションの操作性も悪いという残念な作品でした。まずまずヒットしたのはファイナルファンタジー16くらいではないでしょうか。私はストーリーも世界観も十分に楽しめました。以前、ドラクエ12が開発中であることが明かされましたが、ドラクエのナンバリングタイトルなので今後はこちらに期待したいですね。