ドラゴンクエストといえば1986年から続くRPGの金字塔だ。ドラクエの冒険とともに人生を歩んできた人も多いことだろう。それぞれのドラクエシリーズを象徴するのがラスボスの存在だ。近年リメイク版が登場し、ドラクエは現代の若い世代にまで受け継がれているが、当時の想いとともにドラクエの歴代ボスを振り返ってみたい。
ドラゴンクエストI:竜王の恐怖!選択肢を間違えるな!
ラスボス:りゅうおう(竜王)
『ドラゴンクエストI』のラスボスである「りゅうおう」は、闇の力を持つ魔王であり、プレイヤーに「世界の半分をやろう」と持ちかけることで知られる。プレイヤーがその誘いを断ると戦闘が始まり、第一形態では人間の姿で「ベギラマ」の呪文を駆使しながら戦う。連戦で真の姿である巨大なドラゴン「竜王」へと変身し、強烈な物理攻撃と炎のブレス攻撃を放つ。特に、竜王形態でのブレス攻撃は強力で、一気に窮地に追い込まれたプレイヤーも多いだろう。
竜王を倒すことで、アレフガルドに平和が戻り、プレイヤーは勇者として歴史に名を残すこととなる。シリーズ最初のラスボスとして、シンプルながらも印象的な存在だった。なお、FC版では「世界の半分をやろう」という話にのると復活の呪文(セーブ)を言い渡され、画面は真っ暗のバッドエンディングに。さらに言い渡された復活の呪文を入力してしまうと、すべてを失いLv.1(アイテムと所持金なし)から始まるという今では考えられない鬼畜めいた結果に…。勇者であるはずのプレイヤーが寝返ったことに対する自業自得な結末となっていた。
ドラゴンクエストⅡ:2作目にして裏ボスの衝撃!!
ラスボス:ハーゴン
邪教の大神官である「ハーゴン」は、『ドラゴンクエストⅡ』のラスボスであり、悪魔の神を召喚しようとする存在である。強力な呪文「イオナズン」を駆使し、さらには2回攻撃ができるなど厄介なワザを使用する。
長らくハーゴン=モンスターだと思っていたが、どうやらあの容姿で人間という設定のようだ。もちろん呪われていて元人間というのが正確なのかもしれない。直近ではドラクエⅢ(リメイク版)によって、ハーゴンは竜の女王に仕える神官長であったことが描かれた。ハーゴンは自らの命を捧げることで、破壊神シドーを召喚するという恐るべき計画を持っていたのだ。プレイヤーがハーゴンを倒した直後、戦いが終わったかのように見えるが、突如としてシドーが降臨し、さらなる絶望が訪れる。
裏ボス:シドー
ドラクエシリーズは『ドラゴンクエストⅡ』から裏ボスという真のボスキャラが登場するようになる。「破壊神シドー」は、ハーゴンの命と引き換えに召喚された存在であり、ドラゴンクエストシリーズにおける最初の「裏ボス」とも言える。シドーの最大の特徴は、「はげしいほのお」や2回攻撃に加え、スクルトとルカナンの補助魔法が使えることだ。戦闘中に「ベホイミ」を使用し、HPを回復するため、長期戦になるとプレイヤーにとって非常に厳しい戦いとなる。しかも「痛恨の一撃」などの強力な攻撃を繰り出し、レベルが十分に上がっていないと苦戦は免れない。シリーズ2作目にして挫折を味わった人も多いのではないのだろうか。
シドーを倒すことで、本当の意味での平和が訪れ、ドラゴンクエストⅡの冒険が完結する。当時の多くの子供たちに試練を与えた存在だ。
ドラゴンクエストⅢ:伝説の魔王と最強の試練
ラスボス:ゾーマ
『ドラゴンクエストⅢ』のラスボスである「ゾーマ」は、闇に支配された世界「アレフガルド」に君臨する魔王である。ゾーマは、圧倒的な力を持つだけでなく、「いてつく波動」によってプレイヤーの補助呪文を無効化する能力を持つため、戦略的な戦いが求められる。また、強力な「マヒャド」や「凍える吹雪」といった全体攻撃を繰り出し、回復が追いつかない状況に陥ることも多々ある。とくに『ドラゴンクエストⅢ』は初めから好きな職業でパーティーを組むことができることから、職業選びや転職も攻略のカギとなった。
ゾーマ戦では、「光の玉」を使用してゾーマの「闇の衣」を解除することでダメージを与えやすくする。このアイテムを使わずに戦うことも可能だが、非常に長期戦となり、プレイヤーにとって大きな負担となる。ゾーマは、その圧倒的な強さとカリスマ性から、シリーズでも屈指の人気を誇るボスとなっており、その後のスマホゲームやスピンオフタイトルなどでも活躍している。
なお、『ドラゴンクエストⅢ』から中ボスに位置づけられるモンスターも登場。物語の前半では、ラスボスはバラモスであると思われたが、バラモスは中ボスに過ぎず、バラモスを倒すと魔王ゾーマの存在があらわになる。
裏ボス:しんりゅう
エンディング後に挑戦できる裏ボス「しんりゅう」は、ゾーマを超える強敵である。しんりゅうは、ドラゴンクエストⅢの隠しボスであり、強力なブレス攻撃と物理攻撃を繰り出す。条件づけられたターン数内で「しんりゅう」を倒すことで、願いを叶えてもらうことが可能だった。見た目的にもドラゴンボールの神龍のような存在だ。
謎の塔の頂上に出現するしんりゅうとの戦いは、まさにプレイヤーにとって真の試練であり、最大限の準備が求められる。特に、短いターン数で撃破することで得られる報酬が変化するため、どのように戦うかが重要なポイントとなる。なお、『ドラゴンクエストモンスターズ テリーのワンダーランド』では、ドラゴン系最強のモンスターとして君臨した。
ドラゴンクエストⅣ:悲劇の魔王と真の黒幕
ラスボス:デスピサロ
『ドラゴンクエストⅣ』のラスボスであるデスピサロは、かつて人間に愛する者(エルフの少女)を奪われたことで破壊の魔王化してしまった悲劇の魔族であり、復讐のために魔王へと変貌した。ドラクエシリーズで初となる形態変化型のボスだ。これには手こずったプレイヤーも多いだろう。最初は『ドラゴンクエストⅤ』で登場するエスタークの色違いの容姿(青色)であるが、倒すごとに腕が無くなり、本来のデスピサロの姿が下半身から徐々にあらわになっていく。その結果、形態変化はなんと7段階。デスピサロの攻撃は「はげしい炎」「いてつく波動」「マホタンカ」など多彩で、特に「いてつくはどう」による補助呪文の解除が厄介である。長期戦となるため、賢者の石や天空装備など十分にアイテムを準備して挑みたい。
破壊の魔王となる前の「ピサロ」は魔族の戦士のような容姿で、人気キャラクターの1人でもある。2023年12月に発売した『ドラゴンクエストモンスターズ3』では、主人公として活躍した。なお、ピサロの父親は「ランディオル大帝」という魔界の王という設定であり、スマホゲーム「ドラゴンクエストタクト」にも登場する。
▼【DQM3】ラスボス「ランディオル大帝」の攻略ガイド、基本情報から豆知識まで解説!
裏ボス:エビルプリースト
エンディング後に挑戦できる『ドラゴンクエストⅣ』の裏ボス「エビルプリースト」は、デスピサロを裏で操っていた黒幕である。前述に触れたデスピサロの誕生につながった“愛する者の悲劇”は、エビルプリーストに操られた人間によって引き起こされた。非常に冷徹な極悪モンスターなのは間違いないが、『ドラゴンクエストⅣ』は1990年にファミコン用ソフトとして発売し、その後2001年にPlaystationでリメイクされている(さらに2007年にニンテンドーDS)。FC版とPS版でエビルプリーストの扱いは異なる。
FC版では裏ボスどころか、デスピサロとの決戦前に倒すべき中ボスとして登場する。容姿は「だいまどう」の色違いで神官のような見た目だ。一方、PS版ではデスピサロ討伐後に6章(FC版は5章で終わり)が登場し、ピサロを仲間に加えた勇者たちは裏ボスのエビルプリーストを倒しに行くという話になっている。PS版のエビルプリーストは容姿がデスピサロの色違いとなっており、これまた形態変化型のボスとなっている。このようにFC版とPS版で設定が大きく異なる異例の存在である。
エビルプリーストはドラクエシリーズのなかでも特殊な存在だ。『ドラゴンクエストモンスターズ テリーのワンダーランド』では、『ドラゴンクエストⅥ』までのナンバリングタイトルのラスボス、裏ボスが勢揃いしていたが、エビルプリーストは登場しなかった。モンスターズシリーズでは、『ドラゴンクエストモンスターズジョーカー2』で初めて登場。その後、『ドラゴンクエストモンスターズ3』でも登場するが、基本的にFC版の容姿が正式なエビルプリーストとされている。