名探偵コナン「黒鉄の魚影」、事前に知っておくべき登場人物とレビュー【ネタバレなし】

映画

私が小学校1年生だった1996年にアニメ放送を開始し、2024年には30周年を迎える名探偵コナン。今では子供から大人まで楽しめる探偵アニメの代名詞となっています。小学校1年生から見続けている身としては、いつ終わるのか?黒幕は誰なのか?と思う反面、終わってほしくないというのが正直な気持ち。そんな気持ちを抱えながら毎週楽しんでいます。

劇場版は毎年4月に上映され、今年はシリーズ26作品目となる潜水艦を舞台に黒の組織との対決を描いた「名探偵コナン 黒鉄の魚影(くろがねのサブマリン)」が公開されました。近年では登場人物も増えており、映画を理解することに不安を感じる人も多いでしょう。この記事では、映画をしっかり楽しむために事前に知っておきたい情報をまとめておくのに加え、今年も早速観に行ってきたので忘れないうちにネタバレを含まない程度に感想を綴っておきます。

日本を代表するアニメ「名探偵コナン」のあらすじ

はじめに、皆さんご存じだと思いますが名探偵コナンはコナン君があらゆる事件を解決する推理漫画です。高校生探偵の工藤新一は、幼馴染の毛利蘭とのデート中に黒ずくめの怪しい連中を見かけ追跡したところ、背後にいた連中の仲間に気づかず襲われてしまいます。その時に妙な薬「APTX4869(アポトキシン4869)」を飲ませれ、小学生の身体に変えられてしまいました。その後は探偵業を営む毛利蘭の父親である毛利小五郎のもとに転がり込み、さまざまな事件を解決しながら元の姿に戻るための手がかりを探っているというのが大まかなあらすじになります。

そんなあらすじから30年近くも経てば色々と話は進んできます。ここ5年~10年では重要な登場人物がちらほら・・・。名探偵コナンの中でも最大のミステリーである黒の組織に関わるキーマンがたくさんでてきています。これが毎週のアニメシリーズの中で唐突にしれっと出てくるので劇場版を見ても登場人物が分かるか?いきさつが分かるか?という悩みを抱えている人も多いことでしょう。

黒の組織×灰原哀の関係をまとめた「灰原哀 黒鉄のミステリートレイン」

黒鉄の魚影では、映画公開前に今回の第二の主役である灰原哀(宮野志保)の過去のストーリー(TVアニメのエピソード)をまとめた「灰原哀 黒鉄のミステリートレイン」が上映されました。もちろん私もおさらいのために鑑賞しました。

これは黒の組織と灰原哀の関係が少し分かる内容になってはいるものの、登場人物を把握するのには役に立ちません(汗。現時点で黒の組織が灰原哀の生死をどう見ているのか?という話につながるだけの内容になっています。

この映画で重要なのは最後の部分ではないでしょうか。ストーリーはコナンや灰原哀、毛利小五郎達がイベントを催す機関車(ベルツリー急行)に乗車することから始まります。機関車のなかでは推理ゲームが開催され、これが実際の事件になっていくわけです。さらには黒の組織であるジンは、事前に灰原哀が乗車するという情報を入手し、構成員であるベルモットとバーボン(スパイのFBI捜査官)をベルツリー急行に潜伏させたのです。そして、次第に灰原哀が組織に追い詰められ、最後は列車を爆破させられてしまいます。この時、コナンの母親や怪盗キッド、そしてスパイであるバーボンの助けもあり、灰原哀は爆破とともに死んだように見せかけることに成功しました。

この経緯から黒鉄の魚影では、灰原哀はベルツリー急行で亡くなっているとジンは思い込んでいるのです。

黒鉄の魚影を楽しむために登場人物を整理!

映画を楽しむためには黒の組織とスパイ達の相関図を把握しておくと良いでしょう。名探偵コナンの原作公式サイトには今作の主要人物となるキャラクターの紹介が記載されています。因みに、敵か味方かややこしくしているのは黒の組織に潜入してスパイ活動を続けている公安警察やFBI捜査官(味方)なので、このキャラクタ―達(安室透、水無怜奈、赤井秀一)の身元が分かっていれば少なくとも理解はできるかと思います。ただし、原作公式サイトだけでは情報が不十分なので少し登場人物を紹介します。
▼「名探偵コナン」原作公式サイト

■灰原 哀(はいばら あい)
灰原哀の本名は宮野志保(みやの しほ)で、元黒の組織の一員でした。組織内では「シェリー」というコードネームが使われていました。化学の天才であり、黒の組織で薬を作っていましたが、ある事件をきっかけに組織から抜け出し、現在はコナンたちと行動を共にしています。工藤新一が飲まされた「APTX4869」は黒の組織がシェリーに作らせた薬だったのです。なお、灰原哀の姉である宮野明美も黒の組織の一員であり、ジンに撃たれて亡くなっています。

■安室 透/バーボン
毛利小五郎の事務所の1階にある喫茶店ポアロのバイトで登場。後に毛利小五郎に弟子入りし、コナンに急接近しました。安室透は1人3役を演じています。1つ目は安室透としての一庶民としての顔です。2つ目は黒の組織に潜入したスパイとしての顔です。コードネーム「バーボン」として黒の組織の構成員を務めており、構成員のかたわら密かにコナンを手助けし、任務を失敗に導いています。3つ目は黒の組織に潜入する公安警察としての顔です。公安警察では〝降谷零(ふるや れい)”という名前であり通称「ゼロ」です。3つ目の公安警察の顔が本当の顔と言えるでしょう。

■水無怜奈/キール
日売りテレビのアナウンサーとして登場しました。その裏では、安室透と同じく黒の組織の構成員であり、コードネーム「キール」として行動しています。しかし、その本性はCIAの諜報員で黒の組織に潜伏したスパイなのです。黒鉄の魚影にも登場し、コナンの手助けをしてくれます。

■赤井秀一/ライ
非常に優れた推理力と戦闘力を持ち合わせてたFBI捜査官。狙撃の腕は凄まじく、コナンと協力しながら事件を解決に導きます。かつては黒の組織に潜伏し、コードネーム「ライ」として潜伏していました。しかし、ある事件でライは偽装死を装い、現在はFBI捜査官として行動しています。

■沖矢 昴
沖矢昴は放火事件によって住まいが焼失してしまったことから、コナンの提案で工藤新一の自宅に住み込んでいます。というのも沖矢昴の正体は赤井秀一であり、もう1つの顔であった黒の組織の「ライ」を偽装死させたことで、正体を隠すために変装して生活を送っている。

■ベルモット
変装が得意な黒の組織の一員。黒の組織のボスのお気に入りで幾度となくコナンや灰原と対峙してきたエピソードがあります。すでにコナンと灰原の正体に気付いていますが、黒の組織にはそれを明かしていないという謎多き女性です。黒の組織の中でも狙撃の腕が立つ「キャンティ」と「コルン」とは対立しています。ベルモットの行動や言動には敵か味方か疑わしいシーンがいくつかありますが、現時点では純粋な黒の組織の一員です。

以上が黒鉄の魚影に登場する重要人物です。近年の劇場版では黒の組織や安室透がテーマとなっているものが増えています。ただ、このほかにも赤井秀一と世良真純の母親は何者なのか…。黒の組織のNo.2とされるラム(黒鉄の魚影にも登場)とはどんな人物なのか…などまだまだ謎は多いのです。因みに、黒の組織のコードネームは蒸留酒の名前であるほど大物になります。No.2はジンのように思えますが、実はラムなのです。

黒鉄の魚影を観て感じたこと

劇場版の名探偵コナンと言えば、飛行機や船、遊園地、仮想ゲーム空間、サッカースタジアムといった舞台をテーマに事件が起きることが定番でしたが、最近は舞台をテーマにしたもののほか、安室透や灰原哀などの登場人物にフォーカスしたものの2種類に分かれています。

黒鉄の魚影は、潜水艦が舞台ではあるものの、灰原哀や黒の組織、スパイとの関係がメインテーマになっており、ストーリーはややシリアスになっています。ただ、それだけであればゼロの執行人や緋色の弾丸とニュアンスは似ているのですが、今作はこれにラブストーリーが加えられていました。なので大人も十分楽しめる作品だと思います。とはいえ、劇場版を例年観ていますが映画館に子供の姿は皆無です(汗。

それから、いつも劇場版ではかっこいい姿を見せるコナン及び新一ですが、今回のコナンの表情や感情の見せ方はいつもと違うな?と感じました。これまで、コナンの姿では淡々と事件を解決し、危機が迫ると一時的に新一に戻ったり、一瞬言葉遣いが新一に戻るというシーンは多々ありました。だけど黒鉄の魚影では、コナンの姿のままだけど表情が新一というシーンが多数見受けられます。これがいちいちかっこいいんですね。今作は新一ファンにはたまらない映画ではないでしょうか。

一方で私の中で面白かったポイントは、珍しくコナンが焦りをあらわにして取り乱すシーン。過去にも劇場版「ベイカー街の亡霊」で列車の上でジャック・ザ・リッパーと対決する場面では、蘭がジャック・ザ・リッパーもろとも身を投げ、列車を停める手段がなくなった時のコナンの落胆ぶりはとても印象深く、引き込まれるシーンでもあります。いつも自信満々でポジティブなコナンですが、諦めたり取り乱すとこちらもハラハラしますね。しかし落胆するといつもメガネが反射してる描写になるのは何故だ…w

一昨年から劇場版を見始めた嫁は「今まで見た中で一番良かった!」とコメント。名探偵コナンの劇場版は毎年外さないので、どれも面白いですが、アクションシーンやラブストーリーなどなかなか見応えのある作品でした。因みに、隣の席の女性は中盤で泣いていたので涙を誘う点も高評価ですね。まだ見ていない方は登場人物をおさらいしてぜひ見てみてください。なお、来年の劇場版予告ではキッドと服部平次の声が!